突然ですが、
どうしても許せない相手はいますか?
親や配偶者、恋人、友人、ビジネスの相手……
色々な人が浮かぶかもしれません。
そして、なかにはずっと大好きだったのに、
ある出来事を境に大嫌いになった場合もあるでしょう。
最初から、
「この人とは合わないなぁ」と思う相手とは、ある程度の距離を保つので、
心の傷は大きいけれど、深くはならないこともあります。
一番厄介なのは、
大好きで一度心の中をさらけ出した相手を、嫌いになった時でしょう。
親であれば、親と子の「人生観の違い」による衝突だったり、
恋人や配偶者であれば、浮気だったり……
何か、許せない出来事が起こった時に、
人は燃えるような憎悪を感じます。
そして、その出来事がきっかけで縁を切った後、
一人になっても、その火がなかなか消えないことも多いです。
表面上はトラブルが収束していても、
心の中では、今まさに発展中なのです。
そして、大好きな友人たちに囲まれながら、
その心の炎を見ないふりをして、「新しい人生を楽しんでいる」と思おうと努力する。
しかしその間も、炎はどんどん勢いを増していく。
そしてある日、
友人が誰もつかまらない暗い夜など、
突然に大きな炎に飲み込まれてしまう時が来るのです。
一度、炎に気付いてしまうと、
さぁ、大変。
笑っていても、バカ騒ぎしてはしゃいでいても、
心の火傷がうずくのです。
そして、痛みが強すぎて原因ばかりに目がいってしまうようになる。
「あいつが悪い。あいつのせいで私は傷ついた」
そんな呪文が心の中を歩きだします。
その呪文は、傷口を悪化させ、ただれさせる。
悪化した傷口を感じて、もっと強い呪文が一人歩きする。
そうなると、もう手がつけられません。
何をしていても、悲しく、恨めしい。
でも……
魂は知っています。
その傷口を癒す方法を。
その苦しみから解放される方法を。
最近、スピリチュアル好きには有名な「許す」という方法もその一つです。
でも、その方法は一見、腹立たしく感じたり、
自分が損をするように感じる。
そして、
何より、自分を傷つけた相手を恨むことが標準装備になっていて、
それがなくなる毎日を想像しにくくなっています。
それは、いつか使うだろうと溜め込んだ紙袋や破れた靴下の片割れだったり……
そんな感じの持ち物のひとつです。
解放され、幸せになることを願いながら、
恨むことで毎日のリズムを作っている。
しんどいですね、とても辛いです。
しかし、この生き地獄のような状態を我慢し続けている方に、
カウンセラーをしているとよく出会います。
そして、
こうして文章にすると、
とんでもなく苦しい、非日常的な状態のように感じますが、
何十年生きている中で、ほとんどの人が何度かは経験するリアルな出来事でしょう。
軽度~重度まで、状態はさまざまなので、気付かない人も多いですが。
「心理学 psychology」とは、
ギリシャ語の「心 psyche」と「学 logos」が語源です。
そして、「心理学」という単語が誕生したのは16世紀頃ですが、
紀元前 アリストテレスの頃には、
もう「こころ」の存在は認識されていました。
喜び、悲しみ、苦しみ、怒り、楽しむ……
そんな心の揺れは、遠い昔の人も感じていたのです。
だからこそ、心理学という学問が独立し、研究され、
人生をより良くする方法のひとつとして、今日も注目されています。
悲しみ、苦しみ、乗り越え、笑う……
そんなリズムは、天界から降り立ち、地上で生まれた人が経験するように用意された
ミッションなのかもしれません。
しかし、できれば、毎日笑って過ごしたいですよね。
だからこそ、
心や魂と向き合う学問や占いが、必要とされているのかもしれません。
遠い昔は、いえ、少し昔でも、
国や役人にとって不利益だとされると、簡単に人を消してしまう時代がありました。
そんな時を生きた人々は、心の揺れを強く感じていたでしょう。
今でも、戦争が絶えない土地では、
日本よりも強い悲しみや怒り、憎しみが渦巻いているかもしれません。
戦争がなくなり、殺人がなくなり、いじめがなくなる、
そんな時代を迎えるためにも、
心や魂を見つめる作業は必要となってくるのでしょう。
悲しみや憎しみを原動力にするような、悲しい日々を続けないために。