「恋人ができたら、幸せになれる」
「結婚したら、幸せになれる」
「転職できたら、幸せになれる」
「病気が治ったら、幸せになれる」
「裕福になったら、幸せになれる」
地上人は、こういう考えをよくします。
さて、本当にそうなのでしょうか?
くるくる回る車輪のような人生の中で、
「あれができたら」「これができたら」に囚われていませんか?
まるで、どんなに走り続けても部屋の外にすら出られないハムスターのように。
最近、脳科学の本を読んでいます。
心理学と脳科学はお隣さんの領域です。
その脳科学の本の中で、心理学でもおなじみの「錯視(錯覚)」について書かれていました。
「縦方向と横方向に並べた棒の長さが同じ図を選びなさい」と言われると、
ほとんどの人間が間違います。
じっと見つめていると、静止画が動いて見えるのもそのひとつです。
また、脳の中のニューロン(神経細胞)は様々な種類があります。
赤色を見たときに反応するニューロン、丸い形を見たときに反応するニューロン……
そして面白いのは、
下界に存在はしなくても、錯覚で見えたものに、脳は反応するということです。
ある一点をじっと見つめると、
画面上には実際は存在しない色が見えた、という体験をしたことはありませんか?
学校で実験した方もいらっしゃるかもしれませんね。
また、医師の手術着がなぜ緑色なのか?の答えもこの原理です。
血の赤色をたくさん見ても、クラクラしないように作られているのです。
このあたりは色彩やカラーセラピーの分野でもありますね。
さて、話を戻すと、
「錯覚で見えたものにでも、脳は反応する」という現象はサルにでも起こるそうです。
つまり、ハイスペックな作りの脳にはできてしまう芸当ということなのでしょうね。
この話を読んで、
「苦しい時にでも、まず笑いなさい。幸せは後から付いてくるから」
という言葉を思い出しました。
とってもスピリチュアルな言葉ですよね。まさに精神論といった感じの。
でも、どうやらこれは科学的にも裏付けされた言葉のようですね。
脳をだまして幸せになる、とっても高度な科学なんだと思います。
さて、冒頭の「~したら、幸せになれる」という人間特有の口癖を思い出してください。
「卵が先か、鶏が先か」
「幸せに過ごせるなら、どっちが先でも良い」と私は思います。
皆さんは、いかが思われます?
まぁ、つらい時や苦しい時に笑うって難しいんですけどね……
そこは「良薬、口に苦し」といったところでしょうか。
小さなお子さんに「これ飲んだら、お熱下がるから!」と、
お母さんたちは大変な思いをして、お子さんの口に薬を流し込みますよね。
でも、大人になったら、こんなことはしてもらえなくなります。
だから、苦いと分かっていても自分で飲まなきゃならない。
楽に、簡単に、誰もかれもが幸せになれるわけじゃない。
きっと、「飲んで、治すぞ!」といった約束を自分とできる人だけが、
幸せへと続く鍵を握ることができるのでしょう。
まぁ、やっぱり、なかなか根性のいる話です。
参考文献 『単純な脳、複雑な「私」』(朝日出版)
著者 池谷 裕二